ゼミガイド

研究紹介

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冨士池 優美教授

研究キーワード
日本語、コーパス、語彙、日本語史、語彙の量的構造

私の専門分野

私の専門は、日本語学の中でも「語彙の量的構造」です。難しく聞こえますが、量的構造は多くの用例を集めて捉える方法論です。平たく言うと、使われている言葉をたくさん集めて、そこからどんなことがわかるか見てみようということです。

日本語学を勉強する必要ってある?

「日本語学を勉強する必要ってありますか?」と高校生から質問を受けることがあります。その時には必ず「皆さんは自分が使う日本語に自信がありますか?」と逆に質問をしています。普段、当たり前のように使っている日本語ですが、小論文のようなかたい文章を書こうとすると急に書けなくなることや、言いたいことをうまく表現できないという経験は誰にでもあるでしょう。また、日本語とはどういう性質の言語なのかとか、間違った日本語と言われるものはなぜ間違いなのかなど、私たちは日本語のことを意外とわかっていないものです。

ゼミ紹介

私が担当するゼミの共通テーマは「日本語に関する量的な研究」です。それに基づき、学生たちは個々に設定したテーマに取り組んでいます。一言目は必ず「何をどう数える?」です。これまで、所属していた学生が取り扱ってきた資料は『古今和歌集』から『君の膵臓を食べたい』『コンビニ人間』といった現代の小説、ファッション誌やアイドル誌の記事、マンガ、J-popの歌詞、映画のキャッチコピー、ドラマのタイトル、電話番号の語呂合わせ、日本語ラップ等、多岐にわたります。小説の中の会話文の割合、スポーツマンガの音とキャラクターの関係、マンガの中での「!」「?」の使われ方、歌詞に出てくる当て字等、調査対象は学生自身の興味・関心に沿って設定されています。どの発表も、何度も何度も読んでよく考えて発表されるので、どれもとても興味深く、教員として聞いていても、初めて聞くこと、新鮮な驚きがたくさんあります。また、それぞれ違うテーマに取り組んでいますが、学生同士で「こういう点に気をつけるといい」「もっとこういうことについて聞きたい」とコメントし合い、自分の研究もゼミの仲間の研究も高めていくよう、日々努めています。

「応援ソング」を研究している学生からは、「頑張れ」のような直接的に励ます言葉より「大丈夫」が使われるようになっているといった報告がありました。これは数えた本人にしか得られない成果です。取り組んだテーマについては、誰よりも自分が知っていると自信を持てる、そんなゼミになっています。

本当は多様な日本語の姿

私が専門とする語彙では、使われた語の全てが研究対象となります。大学の授業で話していると、「草(w)」のようなものは「語彙」に含まれないと考えている学生もいるようです。ネットスラングやLINEのメッセージやスタンプの使い方も研究対象になると話すと驚かれることがあります。

小中高と勉強してきた「国語」の教科書に出てくるような「きちんとした言葉」だけが日本語ではありません。私たち自身が使っている言葉を少し思い起こすだけで、教科書には載っていないような言葉がいろいろ出てくるのではないでしょうか。日常使いの言葉、くだけた言葉も日本語の一部です。こうしたものも含めて、日本語とはどういう言葉なのか、検討していく必要があります。多くの用例を集めて見ていくと、自分の知らない言い回しがたくさんあり、知っている日本語の範囲の狭さを感じます。日本語の姿、日本語使用の実態というのは、思いのほか多様なものです。そして、量を集めることによって、意外な事実が判明することがあるのです。

日本語を研究することを通して、多様な実態を認めてそれに対応する力を養ってほしいと思っています。

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