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研究紹介

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工藤 洋路教授

研究キーワード
英語教育学、英語ライティング論、英語スピーキング論、英語テスト論、英語教材論

プロフィール

大学院の修士課程修了後は、高校の英語の先生として働いていました。そこで、英語を教えることの楽しさと共に、難しさや課題も感じ、英語の教授法や英語の学習方法について学問的に研究したいと思うようになりました。高校の教員をしながら大学院の博士課程に在籍して研究を進めて、その後、縁があって、大学の教員として第二のキャリアをスタートしました。今となっては、高校教員歴よりも大学教員歴の方がはるかに長くなりましたが、現在も、主に日本の中学校・高等学校での英語の教授法を研究の柱としています。

日々の活動

英語教育に関する研究(↓研究例は以下参照)をしながら、小中高の先生方の授業を参観したり、先生方と情報交換をする中で、日本の小中高の英語教育の課題を見つけて、それをどう解決するかを考えています。現在、先生方からよく挙げられる課題の例を挙げてみます。

  • (小学校の先生)文字の指導をどこまで行えばよいか?また、行うとしてどのように行えばよいか?
  • (中高の先生)スピーキングやライティングの評価の方法は?
  • (中高の先生)英語で授業を進める場合、文法の説明はどうすればよいか?

研究の例

テーマ

英語のライティングの力はどう伸びるか?

内容

英作文の授業で、becauseなどの接続詞をたくさん使って書こうと指導される場合があります。接続詞をたくさん使うことがより良い英作文を書くことに繋がるでしょうか? この疑問を解くために、中学生、高校生、大学生に同じトピックで英作文を書いてもらいました。書かれた作文の全体的なレベルを複数段階に分けた上で、接続詞の使われ方を調べてみると、次のようなことがわかりました。

①低いレベルの作文ではあまり接続詞は使われない
②徐々に作文のレベルが上がるにつれて、接続詞の使用頻度は上がっていく
③あるレベル以上になると、それ以降は接続詞の使用頻度は変わらない、あるいは、下がっていく

①から②への段階のアップについては、直観的に理解できると思います。レベルが上がると、接続詞も含めた単語や表現をより多く使えるようになるので、結果として、英作文で使える接続詞も増えていくということなので、疑いにくいことだと思います。

では、②から③への段階の変化はどうでしょうか? 高いレベルの作文では接続詞が登場する頻度が低いということですが、これはどういうことでしょうか? それは、高いレベルの作文では、接続詞の前後で情報量が多いため、接続詞の登場頻度が低いということです。実際に書かれた例を見てみましょう。例えば、レベルが低い作文の中にI like baseball because it’s interesting.という文がありました。この文には、becauseの前は3語、後ろは2語という少ない情報量しかありません(もちろん、「単語の数=情報量」とは直接は言えないのですが、ここでは説明の簡略化のためそのようにしておきます)。一方で、高いレベルの作文には、I like baseball the best of all the sports because watching baseball games always makes me excited. という文がありました。この文では、さきほどの文に比べて、becauseの前後の情報量がはるかに多いと言えます。

この研究から何が言えるでしょうか? 最初に見たI like baseball because it’s interesting.という簡単な文しか書けない段階で、とにかくたくさん接続詞を使おうとしても、結局は深い内容を伝えることができないため、作文のレベルとして高い段階には至りません。逆に、接続詞だけが目立って、不自然な英作文になる可能性があります。2つ目の例のように、内容を詳しく伝えようとして、これまで習った単語や文法を駆使して書くことが、より高いレベルの作文として評価されるということです。英作文を書く際に接続詞をたくさん使うことを意識することが、高いレベルの作文を書くことに直接的に繋がるとは言えないということがこの研究から分かります。

その他の活動

  • 小中高の先生方が集まる研修会等で、英語教育に関わる様々な話をさせていただいています。授業を参観して先生方と議論をしたり、指導法やテスト方法などの提案をしたりしています。
  • 英語の教科書・教材の執筆にも携わっています。
  • NHKのEテレの英語番組にも出演(2019年4月~2022年3月)したり、NHKラジオの高校講座の講師(2017年4月~、2022年度は再放送)も務めています。

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8111(代表)

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