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研究紹介

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森本 俊准教授

研究キーワード
英語教育・学習、英語教員養成、動機づけ、自律した学習者、第二言語習得論

理論と実践を架橋し、社会の様々な変化に対応しながら、生徒が確かな英語力を身に付けるのを支援できる英語科教員を育成する。

研究テーマ① 英語の「学び方」

「先生、英語はどうやって勉強すればいいですか」。これは英語科の教員であれば誰しもが一度は生徒に尋ねられたことのある質問ですが、実は答えるのがとても難しい質問です。その理由は主に2つあります。第一に、ここで言う「英語」が何を指すのかが曖昧であることが挙げられます。一口に「英語」と言っても、「文法」や「語彙」、「発音」、「スピーキング」、「リスニング」、「ライティング」、「リーディング」など、様々な要素が含まれます。そこで求められるのが、それぞれがどのような力であり、それを身に付けるためには何が必要なのかを明らかにすることです。「文法」を例にとると、「文法力とは何か」、「文法力を身に付けるためにはどのような学びが求められるのか」を考えることとなります。本研究課題では、「英語力」を構成する「力」が何であるのかを明らかにした上で、さまざまな習熟度の生徒たちがそれらの力を身に付けることができるための方策を、教授・学習法や教材、評価、学習アドバイスの観点から探究しています。

研究テーマ② 動機づけ

先に挙げた生徒からの質問に答えるのが難しい第二の理由は、生徒には個人差(individual differences)があることです。個人差には、性格や学習スタイル(学習のしかた)、認知スタイル(情報の処理のしかた)といった要因が含まれます。その中で英語学習において最も重要な役割を果たすのが、動機づけ(motivation)です。どんなに力がある生徒でも、英語学習に対する動機づけがなければ学習を継続し、目標を達成することはできません。英語教師には、英語という言語そのものを教えるだけでなく、英語学習に対する生徒のやる気を高めるという重要な役割が求められるのです。私はこれまで、動機付けと表裏一体の関係にある「動機減退」(demotivation)という現象に着目し、教師のどのような言動が学習者の動機づけを低減させるのかについて研究を行ってきました。

研究テーマ③ 「自律した学習者」の育成

新学習指導要領の実施に伴い、ほとんどの児童・生徒は小学校3年生から高校3年生までの10年間、学校で英語の授業を受けることとなります。「10年」と聞くと非常に長い期間のように感じられますが、それぞれの校種の授業時間を合計すると、決して十分な時間とは言えません。当たり前ではありますが、英語の授業は学校の授業のみで完結するものではなく、授業時間外の学習も必要不可欠です。そこで重要となるのが、生徒をいかに「自律した学習者」(autonomous learner)に育てていくかという視点です。「自律した学習者」とは、設定した目標に向けて自分の学習を計画・実施・評価し、独力で学習を進めることができる学習者を指します。上で述べた通り、生徒には個人差があるため、「これさえやれば英語をマスターすることができる」といった「万能薬」はありません。生徒たちが試行錯誤を通して自分に合った学習法を見出すのを支援し、要所要所で適切なアドバイスをすることができる力が英語教員には求められます。近年、Advising in Language Learning (ALL)という分野の研究が盛んに行われるようになってきましたが、日本の文脈でこれをどのように実践できるかについて探究しています。

研究テーマ④ 第二言語習得論

人がどのように第二言語(=母語以外の言語)を学び、それがどのように発達していくのかを研究する分野を第二言語習得論(Second Language Acquisition: SLA)と呼びます。私はこれまで、認知意味論という分野の知見を活かし、日本人英語学習者がどのように英語の基本語彙を学習していくのかについて研究を行ってきました。具体的には、基本動詞(例: take, get)や前置詞(例: in, on)、句動詞(例: give off, hold on)に着目し、それぞれの核となる意味(コア)とそのイメージ図式(イメージスキーマ)の理解が学習において極めて重要であることを明らかにしてきました。新学習指導要領の実施に伴い、高校を卒業するまでに学ぶべき単語数が大幅に増加した中、研究から得られた知見をどのようにこれからの語彙の指導を行っていくか探究しています。

最後に

以上の研究課題に共通しているのは、英語教育を議論する上で、「どのように教えるのか(how to teach)」ではなく、「どのように学ぶのか(how to learn)」が出発点であるべきというスタンスです。教員は往々にして「どのように教えるのか」に意識を奪われがちですが、果たして生徒たちに英語を「どのように学ぶのか」についてきちんと指導をしているでしょうか。「先生、英語はどうやって勉強すべきですか」という生徒たちの問いに真正面から向き合い、一人ひとりに合った学習支援をできる英語教員をこれからも育成していきたいと考えています。

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8111(代表)

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