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研究紹介

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酒井 雅子教授

研究キーワード
クリティカル・シンキング教育、多元的探究、論理、公正な心、対話

クリティカル・シンキング教育における教科教育

1980年代から2000年代にかけて、英語圏の学校教育に影響を与えたアメリカの哲学者リチャード・ポールのクリティカル・シンキング理論を基調とする教育を研究しています。国語科などの教科教育に、クリティカル・シンキングの認知方略(論理的思考など)や情意方略(公正な心・知的共感・知的謙虚・知的勇気など)を導入して、複数の立場・準拠枠で問題を考え吟味する多元的探究の授業研究です。言語活動にソクラティック討論も取り入れられていることから、哲学対話ともリンクしています。

英語圏の国々ではクリティカル・シンキングは文化だともいわれますが、日本でも、近年、複雑で予測困難な時代という未来予測の下、探究的な学びの気運が高まり、2016年の中央教育審議会答申に、ようやく、クリティカル・シンキングが「物事を多面的・多角的に吟味し見定めていく力」であるとして明文化されるようになりました。

クリティカル・シンキングを導入した国語科の「探究の学び」

次のような授業をデザインしています。

  • 探究の問いにおいて表明された論証「事実・理由から導かれた結論」を、論証評価スキルを使って、事実の信頼性・客観性や、結論に対する反論の可能性などを評価して、再検証する。
  • 社会の論争問題における、複数の立場、複数の準拠枠の主張を整理し、対話によって合意を探る。
  • 現実社会の問題に類似する文学作品を読み、類比(analogy)で、文学から問題の解決策を探る。
  • 文学作品の登場人物が陥った非社会的・反社会的な状況から、起源に遡って、心理的な解放の方法を探る。
  • これまでの見方を基準にして、文学作品に表れる見方の合理性を評価し、新しい見方を創発する。
  • 一般化(generalization)で、同じような事柄の共通点・相違点を探り、事柄の一般的特徴を抜き出す。

このような国語科の学びは、もはや教科の枠を超えてしまいます。民主的な国際社会の構築、個人のアイデンティティの形成、地球環境の在り方、テクノロジーと人間との関わり方を求めていくための資質・能力の育成を目指して、研究を進めています。

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