学部の学生たちが語る観光学部で学んだ4年間を振り返る
今春、観光学部を卒業し社会に羽ばたいた卒業生4名に卒業直前の2025年2月末、入学動機から英語学習、留学生活、ゼミ活動、就職活動などについて話してもらいました。
- 参加者(左から)
- 谷河 かのんさん(航空会社・CA職)
- 寺島 歩美さん(外資系ホテル)
- 藤田 康子さん(旅行会社関連会社)
- 南屋 瑠那さん(不動産・倉庫会社)
- いずれも2025年3月玉川大学観光学部卒業
まず、みなさんが玉川大学観光学部に進学された理由を聞かせてください。
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藤田 小学生の時、家族旅行で海外へ出かけて以来、ずっとツアーコンダクターの仕事に憧れていました。高校時代に語学留学したかったのですが、バドミントン部の活動との両立が難しくてあきらめてしまいました。だから大学では絶対に留学しようと思い、進学先を探して見つけたのが玉川大学観光学部です。カリキュラムに1年間の海外留学が組み込まれていて、「ここしかない!」と思いました。入学後、留学を経て将来への思いは変わりましたが、この学部に入学して本当によかったと思っています。
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寺島 私も観光学部を志望したのは家族旅行がきっかけでした。泊まったホテルで働くスタッフの方々に、憧れの気持ちを持つようになりました。高校3年で進路を考えた際、まず思い浮かんだのはホテルや旅館などで働くための専門知識を学べる大学で、玉川大学はなんといっても1年間の海外留学が魅力でした。英語は必ずしも得意ではありませんでしたが、全力で取り組もうと決意して入学を決めました。実際、留学前の1年半はひたすら英語の勉強に没頭することになりました。
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谷河 私は子どもの頃からバスケットボール、水泳などスポーツに打ち込んできました。そのため、もともとは体育教員を志望していました。一方で、5歳から英語を習い始め、高校では「英語コース」に所属し、1カ月間のアメリカ留学も経験しました。その際、英語でコミュニケーションを取ることの楽しさに目覚め、「英語で人を笑顔にできる人になりたい」と考え、玉川大学観光学部を選びました。自身の英語力はまだ十分ではないと感じていたため、1~2年の集中的な英語教育と海外留学は大きな魅力でした。
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南屋 私は静岡県浜松市出身です。浜松といっても都市部ではなく、山間部の地域で生まれ育ちました。自然豊かなふるさとが大好きで、中学生の頃から過疎化が進む地域を盛り上げたいという気持ちがありました。高校では地域創生の部活動で、地域活性化の活動に取り組みました。大学ではより視野を広げて地域創生を学びたいと考え、玉川大学観光学部を選びました。やはり1年間の海外留学が魅力的でしたし、少人数教育で先生との距離が近い点も自分に向いていると感じました。実は私も英語はあまり得意ではなく、最初のTOEICのテストではあまりにも低いスコアを取り、大きな衝撃を受けました。そこから一念発起し、『 ELF(English as a Lingua Franca)』など、毎日の英語の授業に必死で取り組み、なんとか留学できるスコアまで到達しました。
藤田 私も英語は好きでしたが、決して得意とは言えなかったので、1年次の英語学習は苦労しました。ドラマが好きだったので、吹き替えなしの海外ドラマでリスニングのトレーニングをし、とにかく継続して英語に触れることを心がけていました。
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寺島 そうですね。1日でも怠ると英語を学ぶモチベーションが途切れると思い、私もとにかく毎日コツコツと続けることを心がけました。藤田さんが海外ドラマなら、私の場合は好きな洋楽をリスニングや発音の「教材」にしていました。谷河さんは子どもの頃から英語を習っていたのでそれほど苦労はなかったのでしょうか?
谷河 確かにリスニングは得意でしたし、高校卒業時にTOEICテストで500に近いスコアを取得していました。しかし、リーディングや文法はかなり苦手で、実を言うと1年次の英語の授業はかなり苦戦していました。分からないことはすぐ先生方に質問し、いつも先生方は快く、分かりやすく答えてくださり、本当に助かりました。大学では体育会水泳部でライフセービングに取り組んでいたので、夜はすぐ眠くなってしまいます。ですから、とにかく授業時間と大学キャンパスにいる時間を有効に使うように心がけていました。
2年次夏からのオーストラリアの大学での留学生活について聞かせてください。
谷河 半年の語学学校を終えて大学では「イベントマネジメント」「ツーリズムテクノロジー」などの科目のほか、世界で最も母語話者の多い「中国語」の授業も履修しました。最初は、現地の大学生の積極性に圧倒されました。私も日本では積極的な方だと思っていましたが、一緒に学んでいた各国の学生たちは、質問する英語が少々間違っていても気にせず、先生に対しても積極的に質問をしていて驚きました。自分の知りたいことを追求する姿勢は、大いに見習うべきだと感じました。おかげで帰国後も自分がしっかりと理解できるまで、先生方に積極的に質問するようになりました。
寺島 私の場合、オーストラリアへの留学が初めての海外体験であり、親元を離れての生活でした。最初はホストファミリーを含め、英語でのコミュニケーションが上手く取れずに悩む日々でした。しかし、途中で諦めるわけにはいきません。毎日の通学時間に単語を覚えたり、留学中も地道に英語学習を続けるしかないと決心しました。3カ月後にはかなり聞き取れるようになり、後半の大学での授業は楽しく学ぶことができました。毎日の課題をこなすのは大変でしたが、試験期間は24時間オープンの図書館や学生が使えるジムなども活用し、充実した大学生活を過ごせたと思います。
藤田 寺島さんと同じく、前半の語学学校では地道に英語学習に取り組みました。大学の授業では「イントロダクション・ユニバーシティ」という大学での学び方に関する授業が大変役に立ちました。また、ロシアによるウクライナ侵略が続いている背景から、少しでも国際情勢を理解しようと「国際関係論」の授業も履修しました。大学での授業はグループ・ディスカッションが中心であり、そのための準備に毎週苦労しながら仲間と取り組んだことが思い出に残っています。また、現地でのインターンシップで多くの人が集まる場づくりに携わったことで、国際会議、展示会・見本市などのビジネスイベント、いわゆる「MICE(Meetings,Incentives,Conferences,and Exhibitions)」という国際的な標準表記分野への関心が高まり、卒業後に「MICE」分野の仕事ができる進路を考え始めました。
南屋 オーストラリアへの留学は語学力や大学での学びだけでなく、私にとって「自立」への大きな一歩となりました。大学ではビジネス系の科目の他に、Excelを使った数学も学びました。実は私、数学が大の苦手で、その数学をあえて英語で学ぶことは大きな挑戦でした。もちろん大変苦労しましたが、その苦労を乗り越えた時、今まで発揮できなかった自身の「力」を感じることができました。また、ホームステイや現地でのインターンシップの経験を通して、行動力やコミュニケーションスキルなどが自然に身につき、帰国後に家族から「たくましくなったね」と言われました。
留学後はどのような学びに取り組み、それぞれの進路を決め、就職活動を進めたかを教えてください。
藤田 先ほどお話ししたとおり、留学で「MICE」に関心を持ったこともあり、3~4年次には多様な地域で必要とされるその分野に進むために役立ちそうな勉強をしようと思いました。「サステナブル・ツーリズム」をテーマとする家長千恵子先生のゼミを選び、ビジネスコンテストに参加して優勝するなど、視野を広げ充実した学びを得られたと思います。就職活動では「MICE」の業務を行っている企業が限られていたため、旅行業やホテル、物流など幅広い分野の企業訪問を行い、合計で30~40社近くエントリーしました。最終的には、希望どおりMICE事業を扱う大手旅行会社のグループ企業に入社を決めました。
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寺島 大学入学後は、当初考えていたホテル業界以外の進路にも興味を持つ時期がありました。しかし、留学中にインターンシップでホテルの仕事を経験し、「やはり自分はホテルの仕事が好きだ」と改めて認識しました。留学後に参加した就活イベントでも、さまざまな業界の仕事について話を伺いましたが、ホテルや旅館の仕事が自分に最も適していると確信しました。国際マーケティング、マネジメントを専門とする鎌田伸尚先生のゼミでは、外資系企業などさまざまな企業の第一線で活躍する方々の話を聞く機会があり、そこで社会に対する視野が広がり、就職活動にも役立ったと感じています。就職先は外資系ラグジュアリーホテルで、希望したレストラン部門に配属予定です。将来的に自分自身が経営する店を持ちたいと考えているため、面接時にそのことを正直に話しました。それでも内定をいただいた会社には感謝しています。入社後は会社に貢献したいと考えています。
谷河 留学前は「旅行会社」「ホテル」「航空会社」の3つの進路を考えていました。留学中のインターンシップで現地のホテルで働いた経験もあり、帰国後はホテルでアルバイトをしながらインターンシップや説明会に参加するなど、ホテル業界を中心に就職活動を始めました。航空会社の客室乗務員に関しては思い込みで「自分には向いていない」と決めつけていましたが、航空会社でのキャリアを有する星幸男先生の授業を通して「挑戦してみたい!」という気持ちが高まりました。客室乗務員の就職活動に取り組むことを決めたのは3年の終わり頃でした。スタートは遅かったのですが、根木良友先生のゼミで培った企業研究・分析力と、毎週の授業で養ったプレゼンテーション能力、そして持ち前の元気と明るさを信じて就職試験に臨んだところ、複数の会社から内定をいただくことができました。最終的には、企業理念と選考中に出会った客室乗務員の方の印象から航空会社を選びました。
南屋 私には大学入学時から「地方創生」「まちづくり」の仕事に携わりたいという夢があり、帰国後はまちづくりや地域振興の専門家である谷脇茂樹先生のゼミでの活動に力を入れました。具体的には、鎌倉市のオーバーツーリズムについて調査するため、毎週のように現地でフィールドワークを行いました。観光客の分散化を図る観光プランを鎌倉市役所と鎌倉市観光協会に提案したところ、「学生ならではのアイデア」と評価していただきました。また、観光関連の学会で発表し表彰されるなど、多くの方々から高い評価をいただけたことは自信になりました。ゼミは地域のボランティア活動にも積極的で、ロケツーリズムや町田市内の商店のプロモーションなどの活動に参加し、地域活性化の最前線で活躍する方々と関われたことも大きな経験となりました。そして、キャリア教育も充実しているゼミなので、就職活動前にはさまざまな企業を訪問する機会にも恵まれ、明確なビジョンを持って就職活動に臨めました。就職先である不動産・倉庫会社は、芸術・文化活動やまちづくり、地域活性化業務を行っており、私の希望に合致しています。
最後に、これから玉川大学観光学部への入学を目指す高校生・受験生にメッセージをお願いします。
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谷河 玉川大学観光学部の大きな魅力は、先生方だと思います。多くの先生方が社会での実務経験を有しており、授業ではそうした先生方の体験談を伺うことができます。また、先生方は非常に親身で、学問から就職活動に至るまで、常に手厚いサポートをしていただきました。もう一点挙げるとすれば、玉川大学は総合大学であるため、クラブ活動などを通して他学部の学生とも交流できることが挙げられます。
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寺島 私も、先生方と海外留学制度が大きな魅力だと感じています。ゼミの鎌田先生をはじめ、多くの先生方に自分の夢や目標を叶えるためのアドバイスやヒントをいただきました。夢を持ち続ければ、必ずその実現をサポートし、チャンスを与えてくれる先生や仲間がいます。それが玉川大学観光学部だと思います。
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藤田 大学4年間を振り返ると迷いや悩み、落ち込みなどを経験することも多々ありましたが、それら全てが「未来の自分」へと繋がっていることを実感しています。夢を持ち続け、決して諦めることなく学び続ければ、きっと素晴らしい未来に出会えるはずです。皆が言うように、先生方は常に私たちの味方です。卒業を前にして「玉川大学観光学部で本当によかった!」と心から思っています。
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南屋 大学の4年間は本当に短く感じました。私にとっては初めて故郷を離れての生活で、1~2年の英語学習、1年間の留学、ゼミ活動など、常に時間に追われていた印象があります。しかし、振り返ってみるとそれだけ充実した日々を過ごせたのだと感じています。皆さんが言うように、困った時は全てを一人で抱え込む必要はなく先生方に相談したり、頼ったりできる環境が玉川大学観光学部の強みです。私はこの環境によって成長を感じることができ、なりたい自分に近づけた気がします。
本日はありがとうございました。