2026年3月4日(水)、玉川大学 University Concert Hall Rm106において、SATREPS-BaCaDM国際シンポジウム「グローバル植物防疫と現場のリアリティ ― ミンダナオにおけるバナナ・カカオ病害研究と菌株資源の未来 ―」を開催しました。
本シンポジウムは、持続可能な開発のための科学技術研究パートナーシップ(SATREPS)の枠組みのもと実施され、日本とフィリピンの研究者および産業界関係者が一堂に会し、植物病害管理および農業分野における国際協力の到達点と今後の展開について議論する場として開催されました。
プロジェクトの概要と国際連携
BaCaDMプロジェクト(Banana and Cacao Disease Management)は、バナナおよびカカオの病害管理システムの構築を目的として、フィリピンのセントラル・ルソン州立大学(CLSU)と日本の玉川大学が共同で推進してきた5年間の国際共同研究プロジェクトです。
本プロジェクトは、玉川大学の渡辺京子教授を主任研究者として主導的に推進され、CLSUのエバリスト・A・アベラ学長率いる研究体制との連携のもとで実施されてきました。
本シンポジウムでは、研究成果の共有にとどまらず、菌株資源の保存・管理体制の構築、診断基盤の整備、さらには国際共同研究を継続するための制度的枠組みの形成といった、本プロジェクトの中核的成果が体系的に示されました。
駐日フィリピン大使による基調的メッセージ
来賓挨拶では、ミレーン・J・ガルシア=アルバノ駐日フィリピン大使が登壇し、フィリピンのバナナ産業が日本の食料供給および価格の安定において重要な役割を果たしていることを強調しました。
大使は、フィリピンが長年にわたり日本への主要な農産物供給国であることに言及し、「バナナとカカオは単なる商品ではなく、生計を支える重要な基盤である」と述べました。特にミンダナオ地域では多くの人々がこれらの産業に依存しており、同国の農業は日本の食料安全保障や、消費者にとっての食品の多様性および価格の安定に寄与していることが示されました。
また、貿易障壁の低減に向けた取り組みが、日本の消費者の負担軽減とミンダナオ地域の持続的な生計維持の双方に資する可能性についても言及されました。
多角的な議論と制度的連携の具体化
当日は、玉川大学理事の小田眞幸による開会挨拶、来賓挨拶、趣旨説明に続き、以下の4つのセクションで構成されるプログラムが実施されました。
・セクション1:植物防疫の国際ルールと途上国現場
・セクション2:ミンダナオの産業と国際的現実
・セクション3:バナナ・カカオ病害研究の最前線
・セクション4:菌株・知識基盤と遺伝資源の責任ある管理
各セクションでは、科学的知見と現場実装の双方を踏まえた議論が行われ、病害管理技術の高度化とその社会実装に向けた課題と方向性が共有されました。
また、本シンポジウムには、フィリピン農業省植物産業局(BPI)をはじめ、農研機構(NARO)開発戦略センター、国連食糧農業機関(FAO)、一般社団法人MJ-STeP、株式会社ユニフルーティ・ジャパン、ABS対応サポートセンター、国立科学博物館など、国内外の関係機関の代表者が参加しました。
特に、BPIにおいて高付加価値作物(High Value Crops)を統括する立場にあるヘロニマ・P・エウセビオ(フィリピン農業省植物産業局 作物研究・生産支援部門 主任農業官)が来賓挨拶を行い、本プロジェクトの成果とその政策的意義について言及しました。これは、本プロジェクトの成果が研究段階にとどまらず、行政レベルでの活用および制度化を見据えたものであることを示すものです。
さらに、BPIとは本プロジェクトを通じて研究協力の枠組みが構築されており、プロジェクト終了後を見据えた連携の継続が具体化しています。本シンポジウムでは、同機関から寄稿されたエッセーに加え、グレン・D.C.・パンガニバン(フィリピン農業省植物産業局(BPI)局長)によるメッセージが紹介され、組織として本プロジェクトの成果を継承・発展させていく方針が明確に示されました。
来賓挨拶を行うミレーン・ガルシア=アルバノ
日本とフィリピンの研究者および関係機関が
研究室前にて来訪者および