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コラム「観光を学ぶとは」

香取 幸一

私は平成19年4月に経営学部に観光経営学科が新設されたことに伴い文学部比較文化学科から経営学部観光経営学科に異動になった。そのために経営学部には教えたことのない学生が数多くいる。また、玉川大学の他学部に在籍しながら観光を学びたいと考える学生や大学で観光を学びたいと真剣に考える高校生がこの経営学部のホームページにアクセスする可能性は高い。そうしたことから、観光の専任教員として観光を学ぶということの意義等についてお話したい。

観光関連科目を履修された学生の多くは既に観光の語源についての講義を受けたはずである。観光の語源は中国の古典である易経の「観国之光利用賓于王」という一文に求められるといわれ、「国之光ヲ観ルハ用テ王ノ賓タルニ利シ」と読み下される。「観国之光」には素晴らしい自然、優れた文化や社会制度等を詳細に観るなどの意味のほかにそうしたものを示す、誇る等の意味もある。全体の意味については「国之光を観る人とは国王の賓客に相応しい人でなくてはならない」と解釈する説もあり、そうした説に基づけば観光を学ぶ者は大学4年間で何を学ばなければならないかが分かるはずである。

また、今年の観光業界で大きな話題となった出来事の1つにザ・リッツ・カールトンホテルが3月に大阪に続き東京に進出したことが挙げられる。ザ・リット・カールトン東京は六本木のミッドタウン東京にあり、客室総数248室のホテルである。ザ・リッツ・カールトン・ホテルは、現在、日本国をはじめ世界21ヶ国でホテルを運営しているがやたらと規模を追及するものではなく、特色ある経営で非常に高く評価されている。そして最も有名なのが「クレド」である。「クレド」とはザ・リッツ・カールトン・ホテルの理念やサービスの基本精神などをまとめたものであり、従業員は常に身に付けていなければならない。その「クレド」の中に“We are Ladies and Gentlemen Serving Ladies and Gentlemen”というモットーがある。このモットーこそがザ・リッツ・カールトン・ホテルの真髄を表す言葉である。つまり、ザ・リッツ・カールトン・ホテルの従業員には何よりも紳士淑女であることが求められるということである。もう1つ非常に有名なのが従業員1人1日につき2000ドルの支出を可能とする決裁権が認めていることである。これも従業員が紳士淑女であるからこそ2000ドルの決裁権が与えられていると考えられる。ここにも大学4年間で まず学ぶべきことが何であるかのヒントが隠されている。

さらに現在の旅行産業界は発地型ビジネスから着地型ビジネスへとビジネスモデルの大転換に取り組んでいる。そうした中で我が国最大の旅行会社である (株)ジェイティビーは「旅行産業」という分野から「交流文化産業」といった分野へと事業を拡大させている。こうした動きも観光を学ぶ学生にとって何が大 切かといったことを教えてくれる。

上記の「国王の賓客」、「紳士淑女」そして「交流文化産業」への事業の拡大の意味するものを十二分に考えれば大学4年間ですべきことが見えてくるはずである。そこには観光に係る専門知識の習得のみに専念するといった「観光を学ぶ」ということに止まることなく様々な領域の知識をも身につけるといった「観光を通じて学ぶ」ということの重要性が謳われているのは間違いない。それは観光を学ぶ者に等しく求められるものであり、また学生の皆さんが自らの 「夢」を実現する上で大きな力になるものでもある。

2007年12月掲載

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