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    更新日 2025年5月19日

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社会活動 地域の方々と研究を通してあたたかい交流

水郷佐原あやめパーク―花菖蒲とともに過ごす憩いの空間、江戸時代の風情を楽しむ―

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水郷佐原あやめパークの名物の1つ、
園内の水路を「サッパ舟」と呼ばれる小舟に乗って花菖蒲を観賞できる


視察:「水郷佐原あやめパークの花菖蒲」2017年6月14日(水)〜15日(木)

千葉県・香取市の「水郷佐原あやめパーク」の方々のお招きにより、現地での花菖蒲の栽培について視察を行いました。この地域は利根川の河口にあたり、江戸時代からの穀倉地帯であり、水路として栄えた街です。佐原の大祭、測量を行った伊能忠敬のゆかりの街として有名ですが、江戸時代に育成された花菖蒲400品種150万株が一斉に開花します。江戸時代にタイプスリップしたような感覚になります。園長様やスタッフの方々との交流を通して、毎年、今以上に立派な花菖蒲を咲かせる方法などを話し合いました。

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写真下左:咲き終わった花摘み、畦(あぜ)の除草はまる1日がかりの大変な作業です。暑い中、敬意を表します。
写真下右:船頭をしているのは、「ミスあやめ」の小林真弓さん。本学・農学部・植物機能開発科学領域(私と同じ部屋)の卒業生です。船頭は命を預かる大変な仕事ですが、お客様をしばし江戸時代に戻った気分にさせることも仕事の1つです。船頭をしながら、私の「園芸学」や「植物生理学」の講義以上の、大変素晴らしい花菖蒲の解説をしており脱帽いたしました。卒業生の活躍を見るのは本当にうれしいものです。
水郷佐原あやめパークでの視察(2017年6月)

本学では、2006年に神奈川県立フラワーセンター大船植物園、2008年には明治神宮の林苑において花菖蒲園の土壌や水質を調査し、花菖蒲の栽培に適した立地条件について比較研究をしてきました。この度、全国的に有名な花菖蒲の郷、「水郷佐原あやめパーク」を訪れる機会に恵まれました。土壌条件や水質は、データを見る限り、花菖蒲の生育に申し分のない条件でした。立地条件は全国有数の水田地帯にあるため、昼間は強い太陽光が降り注ぎます。その一方で、昼間には寒流の影響か適宜涼しい風は吹きます。夜間はやや冷えるので、この気温の寒暖の日較差が花質を良好にし、茎葉のしっかりとした花菖蒲を作り出しているように感じました。今後、根の張り方などを共同で調べることによって、「水郷佐原あやめパーク」の花菖蒲が末永く維持・管理されていく研究ができるようになることを期待しております。また、それ以上に地域の風土を愛してやまない園長様はじめ管理の方々、卒業生の温かい心に敬意を表したいと思います。今後とも、花菖蒲を通して末永く応援したいと思っております。

→今後は、以下に掲載した論文を応用して共同研究を行うことになるでしょう。

  1. 松下芳恵・椎野昌弘・賤機高康・田邊孝・田淵俊人.2006.日本の伝統的な園芸植物、ハナショウブの外部形態に関する特性評価.
    園芸学会雑誌 第75巻.別冊1.p.387.
    →大正時代に大船で育成された品種について述べています。花菖蒲は同じ場所で長期にわたり、栽培するので連作が問題になります。品種が劣化していく原因について考察しています。
  2. 田淵俊人・平松渚・中村泰基・坂本瑛恵.2008.
    日本の伝統的な園芸植物、ハナショウブの特性に関する研究.3.明治神宮の花菖蒲園(林苑)における土壌、および水質について.
    園芸学研究 第7巻.別冊2.p.577.
    →明治神宮の花菖蒲園における、土壌と水質調査を行った論文。林に囲まれた棚田を利用した花菖蒲園であり、光条件が問題になることを議題提起し た論文です。花菖蒲の維持・管理に必要なデータが記載されているので参考にしていく必要があるでしょう。
  3. 平松渚・吉田祐・中村泰基・松本和浩・田淵俊人.2010.
    ノハナショウブの変異性に関する研究(第19報)ノハナショウブの自生地における土壌の化学性について―栽培種との比較.
    園芸学研究 第9巻.別冊1.p.439.
    →ノハナショウブの保護を行うにあたり、自生地の土壌条件を知ることの必要性を科学的に調べ、栽培種に応用できるよう提言した論文。適地適作を提言できる論文として、データを用いた研究が展開されるでしょう。
  4. 田淵俊人・小林孝至・松本和浩.2013. ノハナショウブの変異性に関する研究(第34報)葉肉細胞、液胞の発達とNaClの局在性との関係について.
    園芸学研究 第12巻.別冊2.p.473.
    →「水郷佐原あやめパーク」では、河口に近いためしばしば塩類による影響が懸念されるので、今後の調査研究に必要な資料として重要でしょう。

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