田淵俊人のホームページ
  • 研究テーマ一覧
  • 花菖蒲図鑑
    更新日 2025年12月15日

    • 用語解説
    • 品種一覧
    • 花菖蒲の起源(最新の科学的データに基づいて明らかになりました。2023年5月14日)
    • 文献一覧
    • 年代別 本学における栽培種のハナショウブ、野生種のノハナショウブの研究業績一覧
    • 写真撮影方法
    • 植え替えのポイント
    • 土の種類:有機質肥料や発酵促進剤は不要です
    • 2〜3月の管理作業
    • 4〜5月の栽培のポイント
    • 5月初旬の栽培方法
    • 夏場の作業
    • 秋の栽培のポイント
    • 根の生育診断−茶色になった葉はすぐに取り除きます
    • 10月下旬の株のチェック(根の張りを特に注意)
    • 11月中・下旬の状態(来年への株の維持・保存に向けて)
    • 江戸系、肥後系、伊勢系の「古花」の保存法
  • ノハナショウブ
  • 玉川学園の野鳥
  • 相模原市緑区の野鳥
  • 社会活動
  • プレスリリース
  • 教育研究活動
  • 卒業研究テーマ
  • 玉川大学収穫祭
  • 学会
  • 論文
  • 書籍紹介
  • プロフィール
  • リンク
  • トップページ
  • 農学部オフィシャルサイト
  • 玉川大学・学園総合サイト

花菖蒲図鑑

玉川大学農学部 先端食農学科 システム農学領域・園芸植物学領域 〜田淵ゼミ で栽培管理しているハナショウブの紹介 全面改訂しました!(2025年12月17日)

はじめに

花菖蒲は、江戸時代にわが国の野山に自生している「ノハナショウブ」から育成された、わが国伝統の園芸植物であり、「花の文化財」とも称される存在です。 このホームページは2000年より作成を始め、すでに20年以上が経過しました。

この間、研究を継続する中で科学的な新知見が次々に蓄積され、また写真撮影においてもデジタル技術の進歩がありました。たとえば、江戸系や伊勢系の品種の起源の解明などがその一例です。
本学では、20年以上にわたり正確な栽培品種の収集と調査を行い、研究総数は膨大なものとなりました。これらの成果は随時データベース化し、その一端をわかりやすい文章として本ページにまとめています。 特に2022年1月からは、著作者である教員が過去の研究成果を整理し、自ら撮影した写真と科学的データを交えて、誰にでも理解しやすい解説文の作成に努めています。

一般の方々にとって「花菖蒲」は、梅雨時にニュースや新聞で耳にする季節の風物詩かもしれません。 ですが、その魅力をより深く知っていただくためには、従来の慣習的な知見に加え、客観的かつ科学的な視点からの正確な理解が重要です。

今後も研究の進展に応じて知見は更新されていくと考えられるため、本ページも随時改訂を行ってまいります。 中には、開花状況の年次変化などにより花容や花色が十分に表現しきれていない品種や、記録上の誤認が含まれる可能性もありますが、その点につきましてはご理解いただければ幸いです。
詳細は『花の品種改良の日本史』や、本ページ内の「用語解説」をご参照ください。

花菖蒲は、「歴史を感じながら鑑賞する花」です。 現在、非常に多くの品種が育成されていますが、一般的に花菖蒲園などで見られる品種はごく一部に限られます。
そこで本学では、大学の研究・教育機関としての立場から、維持・保存すべき品種を 「歴史的・文化的・学術的に価値があり、後世に末永く残すべきわが国の文化財的な品種」および「野生のノハナショウブの特徴が現存する品種によく現れているもの」に限定しています。 加えて、今後は「花菖蒲園で比較的目にすることができる品種」も順次加えていく予定です。

花菖蒲は、育成された時代によって分類されます。 江戸時代から明治時代にかけて育成された品種群は、伝統的な「古花」として扱われます。

一方、戦時中の混乱を経て昭和期に各地から集められ、交雑を繰り返して育成された品種群は、交配記録が残っていないことから育成地による分類が困難です。 そのため、作者名を付して「新花」として分類し、便宜的に花の形状(花容)によって系統を分けるのが慣例となっています。

本ホームページでは、「古花」は育成地に基づき、江戸(東京)で育成された品種群を「江戸系」、 伊勢(三重県)で育成された品種群を「伊勢系」、肥後(熊本県)で育成された品種群を「肥後系」として表記しています。 戦後に育成された品種は「新花」として、花容によって分類し、「新花(00花容)」と表記しています。

また、「古花」「新花」以外に、大正から昭和初期にかけて外貨獲得や地域振興、個人の趣味などを目的に育成された品種群も存在します。 これらは「例外」として、「大船」「アメリカ」「外国」「長井」「野生」などの分類で表記しています。 歴史的・遺伝的な根拠資料については、下図(田淵原図)をご参照ください(無断転載・利用はご遠慮ください)。

花菖蒲の歴史的、遺伝的 根拠資料

なお、写真撮影や文章表現には個人差があり、感じ方もさまざまです。 科学的に必要な撮影方法や記述を心がけておりますが、ハナショウブの花は品種や気候、栽培地によって異なり、日々刻々と変化します。

一般には、着色した花蕾が開花し、2日目で満開、3日目には先端部から萎れていきます。
その際の形状や色彩の変化は、何年見ても同じということはありません。 花蕾の段階では花色が濃く、開花とともに花容が大きく開き、形状の特徴が明瞭になりますが、花色は次第に淡くなる傾向があります。

1品種に1枚の写真では、こうした変化を十分に表現することは困難です。 そこで本ページでは、花蕾や開きかけの状態、さまざまな角度からの写真を複数掲載することで、より多面的に花の魅力を伝えることを試みています。 これにより、見る方が自由な視点で花を楽しみ、より深く関心を持っていただけることを願っています。
監修:田淵俊人


なお、本学で研究として用いた株は、岡山県・総社市で「片岡花しょうぶ園」を経営しておられる片岡文男様に分譲して頂きました。 品種名を付与することの大切さを理解され、正しいと思われる品種の株を長年にわたって維持・保存されておられます。

花しょうぶは目で見て楽しむものです。品種を鑑定する場合、目録を見ずに瞬時に答えられる、いわゆる「目利き」と呼ばれる方の存在が不可欠ですが、片岡様はその資質を十分に備えておられます。

科学者として、特に古花を扱って研究をする場合には、正しい品種名と限りなく合致する株を保有することが条件です。 片岡様から頂いた花しょうぶは、すべての品種株において花が揃い、かつ最新の技術を用いても正しいデータを得ることができました。

本学では30年にわたって保存しておりますが、今後も信用のおける株として末永く残すにふさわしい株です。ここに記して御礼を申しあげます。

片岡様と並行して、明治神宮・林苑と共同研究を締結し、「研究用」として分譲を頂きました。 明治神宮・林苑に植えられている花菖蒲は、江戸時代に堀切一帯(現在の葛飾区)で育成された古花品種が栽培されています。 本学との共同研究の一環で分譲を頂き、維持・保全に努めています。

これらの株につきましても、片岡様にご鑑定をお願いし、真正性の確認を行っております。 本学では、これらの貴重な株を用いて、明治神宮・林苑と連携しながら、古花品種の維持・保全と学術的な研究を継続しています。 このような共同研究体制のもと、文化財的価値を有する花菖蒲の保存と次世代への継承に努めております。

また、本ホームページは、2000年から20年以上にわたる学生たちの栽培・管理・研究の結晶でもあります。 本学の精神である「子弟同行」に基づき、「扱う植物の栽培・管理ができる研究をすること」、「地球環境から分子レベルまでを幅広い視点で網羅する能力を養うこと」、「園芸文化を形成した歴史を知り、それを活かして新しい目で科学的な視野に立った研究に携わること」、 そして「ハナショウブやノハナショウブの研究を通して、1人の人格ある人間として成長すること」 を目標に、日夜、栽培と研究に励んでいます。

その一端として、本ホームページは成り立っています。 いずれも学術レベルでの研究成果(園芸学会、国際園芸学会などでの発表・論文)として、2004年から2024年までに95本の論文・著書に掲載され、 卒業生たちはそれぞれの分野で社会的に独立して活躍しています。

今後も、これまでに蓄積してきたデータや知見をもとに、順次、研究成果を論文として発表し、本ホームページにて更新・公開していく予定です。 なお、本学で保存している品種株につきましては、学術研究目的に限り、所定の手続きを経た共同研究の枠組みの中でのみ取り扱っております。個別のご要望にはお応えいたしかねますこと、あらかじめご理解いただけますと幸いです。

研究に携わった卒業生の功績(年代順)

2004年:伊藤誠一・大山貴義・鳥羽啓子
2005年:鈴木和子
2006年:平松渚・渡邊千春・松下芳恵・鈴木和子・富塚裕美
2007年:伊藤和希子・市川祐介
2008年:忠将人・坂本瑛恵・中村泰基
2009年:小熊拓・波多腰拓朗・榎倉麻美・吉田祐
2010年:大坂律子・矢口雅希・萬代有紀
2011年:鳥居保邦
2012年:定延葉子
2013〜2025年:小林孝至
2017年:唐澤健太・人見明佳
2022年:日高慶士
2023年:赤坂ひのき
2024年:榎本萌子・高橋雅

花菖蒲図鑑目次
  • 用語解説 ハナショウブってこんな花!
  • 品種一覧 総合計約400品種のデータがここに!
  • 文献一覧 栽培種のハナショウブ、および野生種のノハナショウブに関する文献リスト
  • 写真撮影方法 きれいにハナショウブの写真を撮るには?
  • 植え替えのポイント 上手にハナショウブを植え替えるには?
  • 夏場の作業 夏場の作業はこんなところに気を付けましょう
当サイトの全ての文章・写真・図版の無断転載を禁じます。
個人情報保護 | 著作権・リンク | このサイトについて
Copyright (C) Tamagawa Academy & University 1996- All Rights Reserved.