卒業生代表スピーチ

征矢 晶紀子さん

令和4年度リベラルアーツ学部卒業生

VOICE

地を駆ける風にも、日ごとに近づいてくる春の気配が感じられるようになりました。

本日は、私たち卒業生のために、かくも盛大に卒業式を挙行してくださいましたこと、誠に有難うございます。

大学生活を、「人生の夏休みである」と一番初めに言い始めたのは、いったい誰なのでしょうか。まさにこの喩えのように、大学生でいた4年間はたいへん楽しく、自由で、思い出深い貴重な時間でした。一歩間違えれば、緩やかに過ぎ去っていってしまう、そんな危うさも、大学という場にはあると思います。実際、入学してすぐの頃、リベラルアーツ学部の先生からこんな言葉をかけられました。

「この学部は、自分の好きなことややりたいこと、勉強したいことをとことん突き詰められるところです。でも、気になることや興味のあることを自分からどんどん見つけに行かないと、何もないまま4年間終わってしまうから、まずはたくさん挑戦してみてください」

私は、自分が何に夢中になれるのか、正直不安なところもありました。しかし、出会った友人たち、ご指導いただいた先生方のおかげで、日々、私の中の知的好奇心が面白いくらいに刺激されていきました。

私の周りにいる友人はみんな、とても輝いていました。少し、羨ましくなるくらいでした。毎日部活動を頑張っている人がいました。様々な業種のアルバイトを掛け持ちして、タメになる話をしてくれる人もいました。趣味に没頭するために、時間とお金をやりくりしている人もいました。サークル活動を謳歌し、学部や学科、学年をまたいで、とにかく交友関係の広い人もいました。夢中になれるもの、打ち込めるものがある友人を、かっこいいと思います。そんなまっすぐな仲間に出会えたことを、誇りに思います。

こんな風に、私たちがやりたいことに向かって突き進んでいけたのも、この環境があったからではないでしょうか。迷った時は、背中を押してくれる先生方がいました。何度、相談に乗ってもらったことでしょう。私たちは、大学に通えない期間もありましたが、先生方のおかげで環境は常に整っていました。学びの場は、形こそ変わったものの、いつも私たちのそばに在り続けました。玉川大学だったからこそ、4年間、立ち止まることなく、前進できたのだと思います。

玉川大学からもらい受けた財産の中で、最も自慢できるものは「人との出会い」です。私はここでの出会いが、これから先も、ずっとずっと長く続いていく縁のような気がしてなりません。

私たちの大学生活にマイナスは無かったと思いませんか?納得のいかなかったことがあったとしても、それを笑い飛ばしてくれる友人や、手を差し伸べてくれる先生方、ずっと近くで味方になってくれた両親、周りの人たちに支えられて、今日という日を迎えることができました。

4月からは、皆それぞれ別の道を歩み始めます。今は、必要以上に社会への不安が付きまとう時期かもしれません。ですが、「今よりもしっかりしないとダメかもしれない」「時間も取れなくなるから色々諦めないといけないかもしれない」という不安で、自分自身をかたく縛り付ける必要はないと思います。玉川大学の学生として培った「自分の選んだ道をとことん楽しんでやろう」という精神を、学生時代に置いていくのはもったいない。

たしかに覚悟は必要でしょう。大人として、責任感も持っているべきです。しかし、「人生の夏休みで学んだ経験」というものは、必ず社会に出てからの強みになります。私たちは、思っているよりもずっと、伸びやかな力を持っています。自信を持って、それぞれ、次の扉を開きましょう。

最後に、心から、皆さまのご健康とご多幸をお祈りするとともに、玉川大学の益々のご発展を願い、私のスピーチとさせていただきます。

令和5年3月11日
卒業生代表 リベラルアーツ学部リベラルアーツ学科 征矢晶紀子