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    更新日 2025年12月15日

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花菖蒲図鑑

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ごさんのたから

五三の宝

Gosan no Takara

江戸系 【英数】三英から五英 【花色】白色の地に紅紫色の覆輪 【開花時期】6月中旬 2014年には6月23日開花

分類 : 1940年(昭和15年)以前には存在していたと言われる「江戸古花」です。
外花被 : 丸弁で平咲きです。この写真では皺が強く入っています。白色の地に周縁部は赤紫路の覆輪が入り、時には赤紫色の部分が広くなること(基部が白色になる)もあります。
内花被 : やや幅広いさじ状で、軸方向とは垂直方向、すなわち横に伸長します。やや内巻き、白色で周縁部は淡い赤紫色になります。
花柱枝 : 太く軸方向と垂直、平面的に伸長します。上から見ると、内花被片と一緒に見えることがあります。白色で先端部は大きく2裂開して大きなずい弁が発達します。ずい弁の先端は鋸歯状となります(くも手)。
備考 : 花径10〜15cm、花茎は約40cmと小型で、細く鋭い葉が直立するのが特徴です。外花被片の数は通常3枚ですが、自然変異により4〜6枚になる個体も稀に見られます。掲載写真は4枚の外花被片を持つ個体で、やや皺が多い花形です。こうした自然変異から、外花被片数の多い品種が江戸や肥後で独自の鑑賞文化に基づいて発展しました(伊勢系は地域性で3英花としています)。多くの変異は環境要因による一時的なものですが、遺伝的に固定された個体も存在し、本学ではそのような実生苗を確認しています(田淵, 2019)。このような4英の品種が1940年以前からすでに存在していたことになります。 特に外花被片が4枚の個体は、万葉集に登場する幻の花「花かつみ」の伝説に描かれる花形・花色と一致し、水辺に自生する生態も共通しています。宮城県栗原市の 一迫(いちはさま)に自生するノハナショウブも、同様の形質を持つことが確認されています。
文献 :
  • 田淵俊人・忠将人・坂本瑛恵・平松渚・市川祐介・中村泰基.2007.ノハナショウブの変異性に関する研究(第5報).ノハナショウブの多弁花形成に関与する内花被の発達過程.園芸学研究.6(2):579.
  • 田淵俊人.ノハナショウブの変異性に関する研究(第13報)茎頂部が花柱枝化し、花被片が形成・発達する移行過程の外部形態と細胞構造の推移に関する仮説. 園芸学研究 2009 別2 581
  • 田淵俊人.2016.江戸花菖蒲の特徴.『花の品種改良の日本史』(柴田道夫監修).悠書館,東京.242−245.
  • 田淵俊人.2019.ハナショウブの品種分化の歴史と、品種育成の基になった原種のノハナショウブ.京都園芸 第103集:46−50.

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