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全人 2020年12月号 Book Reviewに
井上広大技術指導員の記事が掲載されました。

※『全人』2020年12月号(No.855)より抜粋

魅惑のトロピカルフルーツ

文=井上広大(農学部技術指導員)

『 庭先でつくるトロピカルフルーツ
小さく育てておいしい34種』

米本仁巳 著
農山漁村文化協会

「トロピカルフルーツ」と言われてあなたは何を思い浮かべるだろうか。真っ先に思いつくのは、バナナやパイナップル、近年だとアボカド、マンゴーだろう。近頃はこの手のトロピカルフルーツがスーパーでも安価に購入できるようになった。また、一時期話題になった「太陽のタマゴ」(マンゴー)は、ブランド化に成功し、国産品が出回るようになって久しい。

さて、今回紹介する本書には、まさに庭先で熱帯果樹を育てられる技術が満載なのである。前述のマンゴーを始め、パパイアやピタヤ(ドラゴンフルーツ)など、さまざまな種類の育て方がくわしく書かれている。さらに、熱帯果樹だけでなく、他の果樹にも使える汎用性の高い技術も丁寧に記載されているため、非常に使い勝手の良い内容になっている点もおすすめできる。

そもそも、日本では温帯果樹(ナシ、リンゴなど)に関連する技術書はさまざまなものが発刊されているが、熱帯果樹に関してはほとんど無いのが現状だった。その事を思うと、熱帯果樹に興味がある、もしくは育ててみたい人にとっては1つの教科書になったのではないだろうか(筆者にとっても非常にお世話になった1冊だ)。

現在、巣ごもり需要で家庭菜園がブームになっていると聞くが、関東近郊でも育てられる熱帯果樹も少なくない。例えばネクターやジャムが絶品のグアバ、香りが魅力のパッションフルーツなど国内でも苗が手に入るものも多い。鉢植えにして冬場は家の中にしまう必要があるが、春から秋は庭先に出しても十分育てることができる。ぜひこの1冊を手に取って魅惑のトロピカルフルーツを育ててみてはどうだろうか。

月刊誌「全人」