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卒業研究紹介

生態系科学領域の卒業生による研究紹介です(南 佳典教授指導)

北海道東部のトドマツ人工林における
ログ堆積物の野生動物への影響

先行研究で猛禽類によるログ堆積物の利用がみられ、ログ堆積物では被食ー捕食の関係が形成されていることが明らかになった。今回の研究では先行研究でも行われたセンサーカメラおよびモニタリングスコープでの撮影、土壌栄養塩分析に加え、ログ堆積物周辺に生育する菌類の観察を行い、森林生態系におけるログ堆積物の重要性の検討を行った。確認された菌類のうち、食用となる可能性のあるものもあることから、野生動物のエサ資源となることが考えられる。センサーカメラを用いた調査ではエゾリスの貯食の場としての利用が確認され、土壌栄養塩分析では濃度はログ堆積物周辺で高いことが示された。

エゾリス
土壌栄養塩濃度

研究に取組んだきっかけ、感想など
海外プログラムに参加した際にNurse logという言葉を学びました。倒木更新と呼ばれる更新様式で、倒木が実生の成長を支える様子からNurse logと呼ばれています。樹木は生きている間はもちろん、枯れてしまっても生態系にとって重要な役割を果たします。この経験から、カナダに近い環境の北海道で枯死木についての研究を考えていました。自分が主体となり本格的な調査や分析を行った卒業研究は、後にも先にもない貴重な経験となりました。