卒業研究紹介
2021年度卒業の生態系科学領域の卒業生による研究紹介です(關 義和 准教授指導)
特定外来生物キョンの効果的な捕獲方法の検討
特定外来生物であるキョンの捕獲に有効な誘引餌を検討するため、千葉県いすみ市の椿公園内に設けた給餌場所に6種類の餌(アオキ、鉱塩、醤油、ピーナッツ、糠、ワカメ)と自動撮影カメラを設置した。アオキはキョンの摂食割合が他の餌より高い傾向にあったため、用いた餌の中では嗜好性が高いと考えられる。しかし、摂食回数が少なかったことや摂食順に付した摂食点数が低かったことから、その誘引効果は低いと推察される。その要因としては、本地域内にキョンの餌となるツバキが一年を通して存在していることが影響している可能性がある。糠とワカメとピーナッツは、その他の動物の摂食点数が高い傾向にあり、誤誘引を引き起こす可能性が高いため、キョンの誘引餌としては適さないと言える。

研究に取組んだきっかけ、感想など
私は実生活の中でキョンの特徴的な鳴き声を聴く機会がありキョンに興味があったこと、また授業内で野生動物と人との関わりを学ぶ中で鳥獣害対策にも興味が湧き、この研究に取り組みました。
この研究では誘引餌に着目しました。餌で誘引し捕獲することは単純なようで、動物の好みを知ること自体が難しく、対象の動物のみを誘引することが更に難しいことをこの研究を通じて学び、捕獲事業の難しさを身をもって痛感しました。