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卒業研究紹介

2021年度卒業の持続的農学領域の卒業生による研究紹介です(山﨑 旬 教授指導)

オオタニワタリ(Asplenium antiquum)の胞子による
増殖法と保存法の検討―イノモトソウ、ノキシノブとの比較―

オオタニワタリの胞子からの増殖方法、胞子の保存法について検討した。材料の胞子は、各シダの葉裏から筆でかき落とし、サンプル管に入れて保存した。用土への採り播きは、3種類の用土を用いて、プラスチック容器に行った。この他に、試験管内の無糖のMS培地(ゲル)上に胞子を播種し、前葉体・胞子体について検討した。また、容器内で、ある程度育った胞子体は、温室内で外部環境への順化を行った。結果は、ゲル培地での発芽・前葉体形成は用土よりも早く、胞子体の形成も早かった。胞子の保存温度による発芽・生育状況は、変化がみられなかった。これらの傾向は、他の2種も同様であった。オオタニワタリ胞子体の順化についても順調な生育が確認された。

オオタニワタリ(左)と胞子発芽(右)

研究に取組んだきっかけ、感想など
国内実習にて鹿児島の周辺の植物について学びました。そのうちの1つの植物であるオオタニワタリが、絶滅危惧Ⅱ類に指定される植物だと知り興味を持ちました。野生株が園芸目的等での採取が原因の1つだったため人工的に増殖させることについての研究を考えました。種子ではなく胞子という状態から、用土やゲル培地に播種して生育状況を観察するといった研究は、とても貴重な経験となりました。