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卒業研究紹介

2021年度卒業の生態系科学領域の卒業生による研究紹介です(関川 清広 教授指導)

ブナ科樹木萎凋病のコナラ葉は水ストレスを受けているか?
ー葉身スペクトルとクロロフィル蛍光による評価ー

ナラ枯れによる通導機能の低下は、葉身に水ストレスを及ぼす。本研究は、簡易的に測定可能な生理学的パラメータを利用して、ナラ枯れによる葉身の水ストレス状態の評価を目的とした。ナラ枯れ被害のない健全木(N)と、穿入被害のある穿入生存木(W)のコナラを対象木とし、クロロフィル指標(SPAD値)、葉身スペクトル、クロロフィル蛍光の測定と、rbNDVI、PRIの推定を行った。気温が高い期間には、NとWの各パラメータの差は小さかった。一方、10月以降におけるWのSPAD値やクロロフィル蛍光パラメータは、Nより低く、より早く葉の活性が低下したことで落葉が早期に進んだと考えられる。葉身スペクトルによる12月のrbNDVIとPRIは、適切な値を得られなかった。

ナラ枯れ木の事前調査の様子

研究に取組んだきっかけ、感想など
高校生物で植物の環境応答に興味を持ち、ゼミで植物生理の知識を得たことがきっかけとなり、水ストレスと葉の生理特性についての研究を行いました。本研究で必要となった光合成メカニズムの理解には頭を悩ますことも多く、さらにその知識を卒論や発表で簡潔に説明することは最も苦労した点となりました。また、自然相手だからこそ季節変化や被害程度への応答が予想を反する面もあり、植物生理への興味がさらに深まりました。