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卒業研究紹介

2021年度卒業の持続的農学領域の卒業生による研究紹介です(山﨑 旬 教授指導)

カキツバタの栽培実験と
種子形成過程の組織学的観察

カキツバタは古くから園芸利用されてきた植物であるが、現在日本の各所で絶滅が危惧されており、保全活動が行われている。本研究では、カキツバタの子房をパラフィン切片法による組織学的観察と未熟種子の無菌播種による経時的観察によって、種子形成過程の観察を行った。栽培実験において、温度と生長の関係性やプランターと池での栽培などについて検討した。カキツバタの子房は、3室に分かれ1室につき2個の倒生胚珠が確認でき、開花前には胚珠が形成されていると分かった。種子は開花5週後には胚形成が完了し発芽可能な状態であった。カキツバタ栽培では、低温暴露の不足による開花についての異常が確認されたため、正常な発育には休眠期も含めた温度条件が重要であると考えられた。

胚珠と種子の拡大写真と栽培の様子

研究に取組んだきっかけ、感想など
本実験の材料であるカキツバタは、実家で栽培されており幼少期より親しんできた植物である。カキツバタを約1年間栽培していて大変さが身に染みた。また、パラフィン切片法と無菌播種実験によって種子形成過程を観察したが、細かな作業が多く精神を削る思いであった。しかし、終わってみるとパラフィン切片法によって得られた写真はきれいでハッキリと種子の組織が観察できたので、やってみて良かったと思った。