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卒業研究紹介

2021年度卒業の生態系科学領域の卒業生による研究紹介です(關 義和准教授指導)

タヌキとアライグマの
学習能力の有無と成立期間

中型哺乳類の学習能力の有無と成立期間について評価するために、野外に設置した囲い内に嗜好性の異なる餌を配置し、嗜好性の高いイチゴを得るまでの時間(到達時間)について自動撮影カメラを用いて調べた。囲いへの侵入が確認されたアライグマとタヌキの到達時間は、時間の経過とともに有意に短くなった。そのため、同一個体が繰り返し囲いに侵入してイチゴを摂食していると仮定すると、2種はイチゴの場所を学習していると考えられる。囲い設置の約1ヶ月後から到達時間は特に短縮したため、対策に不備があれば1ヶ月程度で被害が大きくなると推察される。したがって、中型哺乳類の農地等への侵入初期の段階で痛みなどの恐怖を学習させることで、効果的な対策に繋がることが期待される。

アライグマとタヌキのイチゴへの到達時間(左:アライグマ 右:タヌキ)

研究に取組んだきっかけ、感想など
様々な動物で学習実験は行われていますが、自然下での研究例はごく僅かです。中型哺乳類の被害を学習能力に着目して被害対策を検討するため、本研究を行いました。囲いを自作しましたが、対象種に壊されては補強と改良の繰り返しで苦労しました。高校生の時から考えていた仮説が、4年間で得た知識と技術を駆使して明らかにできたことで努力が報われたのと同時に、一生忘れられない貴重な経験となりました。