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卒業研究紹介

2021年度卒業の生態系科学領域の卒業生による研究紹介です(小林 祥子 准教授指導)

千葉県房総半島に生息する
キョンの環境選好性の分析と個体数推定

近年、キョンの個体数増加が問題となっている。そこで本研究は、千葉県房総半島における捕獲データを用いた、キョンの環境選好性の分析と個体数推定を目的とした。捕獲数を目的変数、各土地被覆と耕作放棄地の割合、植生指数値を説明変数とし、一般化線形モデルによる重回帰分析を行った。エリアごとの解析から、木更津市と市原市では草地、いすみ市と御宿町では竹林と耕作放棄地、鴨川市では都市と草地に正の相関が見られ、地域ごとに出没場所が異なることが明らかとなった。さらに、個体数は506、645頭と推定され、今後、この数まで増加すると予測された。本解析より、キョンの防除に関し、市町村ごとに捕獲圧をかける場所を変え、早急に対策を講じる必要があると示された。

キョン(左)と個体数推定分布図(右)

研究に取組んだきっかけ、感想など
私は千葉県出身で、キョンの生息数の増加や農業被害についてのニュースは時々目にしていました。そして、このまま増え続けると管理しきれない数になる恐れがあるということを聞いて、キョンの防除に少しでも役立つようなことがしたいと思い、卒業研究で取り組もうと考えました。1年間かけて、データを集めて解析を行い、まとめ上げた研究は、今後の人生の糧となる貴重な経験になりました。