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卒業研究紹介

2023年度卒業の持続的農学領域の卒業生による研究紹介です(上原 歩 准教授指導)

ハマベンケイソウ花冠の青色化に関与する
化学的要因の検証と金属元素の推定

花色が、開花初期から後期にかけて赤紫色から青紫色に青色化するハマベンケイソウの発色機構を明らかにするため、秋田県と北海道に生育する本種の花冠を供試し、青色発色に関与する4つの要因を検証した。検証の結果、本種の開花中における青色化はアントシアニンの存在に加え1.液胞内pH、2.アントシアニン分子内の相互作用、および3.フェノール類との相互作用ではなく、4.金属元素との錯体形成が関与することが、2022年度に引き続き推定された。また、両地点で青色化に伴い蓄積量を増した3つの金属元素(Mg、Mn、Na)のうち、MgとMnは青色発色に関与する報告がされていることから、本種においても花冠の青色化に、これらの金属元素が関与すると考えられた。

北海道の海岸に生育するハマベンケイソウ

研究に取組んだきっかけ、感想など
1年生の時に上原先生の授業を受け、花の色が変わる不思議な花があることを知りました。その時に、この研究をしてみたいと思い、4年次に卒業研究として取り組みました。北海道や秋田県といった自生地まで採取しに向かった経験や、初めて行う実験に戸惑いながらも楽しく取り組めたと思います。また、この研究をきっかけに、花の色についてより詳しく知りたいと思えたので、私にとって思い出の花になると思います。