卒業研究紹介
2023年度卒業の持続的農学領域の卒業生による研究紹介です(小原 廣幸 教授指導)
連結した毛管水耕装置における培養液濃度の違いが
高糖度トマト栽培に与える影響
高糖度トマト栽培方法の1つである毛管水耕において、栽培期間中一定の養液濃度を保持する難しさが指摘されている。本実験では、トマトの毛管水耕栽培装置の液槽内濃度を、EC2.0とEC2.5、EC3.0に保つ3処理区で検討した。EC3.0区では養液濃度が他2処理区より大きく変動し、最終的にEC10.0mS/cmまで上昇した。一方、EC2.0区においてECは、2.0mS/cm付近、EC2.5区では2.5mS/cm付近で推移した。正常果の割合は、EC2.5区の約87%が最も高く、糖度もEC2.5区が最も高くなった。このことから、EC2.5区では、糖度が最も高く障害果発生率も最も低くなるこの環境で、糖度8%以上のトマト果実を生産できると考えられる。

研究に取組んだきっかけ、感想など
高い健康効果があると注目されているトマトの記事を様々な情報媒体で読み、トマト栽培で生じている何らかの課題解決に携わりたい気持ちから、トマトを研究対象にしたいと考えていました。所属領域でトマトの養液栽培について継続的に研究されていることを知り、その中でも電力を使用しない毛管水耕に惹かれ、卒業研究を開始しました。酷暑下での栽培管理を耐え、文献と照らし合わせつつ実施したデータ分析は大変心地よかったです。