卒業研究紹介
2024年度卒業の生態系科学領域の卒業生による研究紹介です(南 佳典 教授指導)
北海道弟子屈町におけるヒグマおよび野生動物の環境利用
―とくに弟子屈農場を中心として―
近年野生動物の減少や異常増加が深刻化しており、特に北海道ではエゾシカの増加とヒグマの減少が問題視されている。エゾシカの増加は過疎や耕作放棄および森林の伐採面積の縮小などに伴い生息地の拡大や暖冬が原因で、農業被害や生態系へ影響を及ぼしている。一方、ヒグマは捕殺や生息環境の縮小により減少傾向にある。両種は生態系で重要な役割を果たしており、特にエゾシカの増加がヒグマの食性や行動に影響を与える可能性が指摘されている。本研究では、北海道弟子屈町を対象にエゾシカとヒグマの相互作用や餌資源の利用状況を調査した。エゾシカとヒグマは時間的なすみ分けを行っており、エゾシカの増加がヒグマに与える直接的な競争の影響は少ないが、一部のヒグマで肉食傾向が見られ、家畜被害への懸念もある。持続可能な森林管理とエゾシカの個体数管理が、森林生態系および人間との共存において重要である。

研究に取組んだきっかけ、感想など
北海道実習に行った際に関東とは違う自然および環境に心惹かれ、北海道で研究をしたいと思いました。そこからヒグマが人里に出没するというニュースを頻繫に見かけるようになり、この研究を行いたいと思いました。思うようにいかず辛くなる時もありましたが、カメラトラップでの様々な動物の画像や北海道の自然に癒され、楽しみつつ、適度にリフレッシュしながら研究を行うことができました。この研究を行えて良かったです!