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卒業研究紹介

2024年度卒業の生態系科学領域の卒業生による研究紹介です(友常 満利 准教授指導)

森林におけるバイオチャー散布はリター分解にどのような影響を及ぼすか
−優占種が異なる4林分間での比較−

近年、森林生態系へのバイオチャー散布は、地球温暖化対策の一つとして注目されている。本研究では、日本で広く観察されるコナラ、シラカシ、スギ、モウソウチクを対象に、バイオチャー散布が森林土壌、特に表層のリター分解にどのような影響を与えるか明らかにし、生態系全体の炭素隔離量について議論した。その結果、バイオチャー散布区は対象区よりもリターの重量減少が大きく、樹種間での差はスギで最も大きくなった。これは、散布により高いリター含水率が維持されることが要因として考えられる。一方、リター分解の促進により放出された炭素量は、バイオチャーとして投入された炭素量と比べてごくわずかであった。これらの結果から、森林におけるバイオチャー散布は、林床の有機物分解を促進させるが、十分な炭素貯留効果が期待できることが示唆された。

調査地選定の様子

研究に取組んだきっかけ、感想など
地球温暖化が深刻な問題となる中で、ただ漠然と、なんとかしたいという思いがありました。そんな時に出会ったのがバイオチャーです。バイオチャーは有用な一方で、使い方を誤れば十分な効果を発揮できないという問題があります。正しい施用方法を明らかにし、地球温暖化防止策の一つとして広く普及する一助となれることに大きなやりがいを感じ、この研究を進めることに決めました。また、研究室の先輩や仲間たちにはたくさん支えてもらい、楽しい思い出や貴重な体験を得られました。この環境があったからこそ、最後まで前向きに取り組めたと感謝しています。