卒業研究紹介
2024年度卒業の持続的農学領域の卒業生による研究紹介です(小原 廣幸 教授指導)
養液栽培における複数回栽培に使用したイチョウチップ培地が
トマトの生育に与える影響
トマトの養液栽培で用いられるロックウールは安定生産が可能だが、栽培終了時に産業廃棄物となる。代替培地として、環境負荷が少ない未利用資材であるイチョウチップに注目した。イチョウチップ培地は、1,2,3,5回使用のものを用いた。本実験では、櫻井(2022)の給液システムを用いて、連用の影響を調査した。栄養器官の生育は、5回区と3回区で良かったが、過繫茂にはなっていなかった。着果数は13~15個で、果実重は50g未満が多く、糖度は全処理区で10度以上となった。障害果率は5回区で19.4%と最も低く、商品果率は1回区で11.3%と最も高かった。全処理区で障害果率の上昇と小玉化、高糖度化がみられた。糖度は処理区間に差が無く、商品果率を考慮して、1回区が最も生育が良いとした。

研究に取組んだきっかけ、感想など
本実験で収穫したトマトはどれも糖度が高いものでしたが、8~12度と個体間で多少のばらつきがありました。しかし、私が食した果実はどれも一貫して甘い果実でしかなく、細かな糖度の違いを感じることはありませんでした。高糖度化を図るほど果実の小玉化が進むことを考えると、糖度を限界まで上げる必要はないように思います。高糖度トマト栽培では、甘さと大きさを両立する最適な水ストレスの調整が求められるのではないかと思います。