卒業研究紹介
2024年度卒業の生態系科学領域の卒業生による研究紹介です(南 佳典 教授指導)
サカハチチョウとアカマダラの棲み分け
サカハチチョウは暗い森林環境を好み、アカマダラは前種より開放的な草原環境を好むと言われている。しかし、これは研究者や愛好家による経験に基づいた情報であり、環境ごとの生息数を定量的に調査した結果ではない。本研究では主に光環境に焦点を当て、明暗の差異による両種の分布の差異を明らかにすることを目的とした。光環境での棲み分けを比較するにあたり、両種の幼虫が食草としているエゾイラクサが群生する林冠が閉鎖的な環境と開放的な環境を調査区として選定した。調査の結果、サカハチチョウの幼虫は暗い環境と明るい環境の両方から確認され、アカマダラの幼虫は明るい環境からのみ確認された。明るい環境であるにも関わらず調査区Bでアカマダラが確認されなかったのは、既にサカハチチョウがいたため競争を回避したからだと考えられる。

研究に取組んだきっかけ、感想など
大学2年生のときの農場実習Cで玉川大学北海道弟子屈農場に行ったことをきっかけに、この場所で卒業研究をしたいと思っていたので本研究を行いました。壮大な大自然の中で行った調査や出会った生き物たちは今でも私の目に焼き付いています。調査後に毎晩行ったライトトラップや北海道特有の生き物たちを探しに行ったことは忘れられない思い出です。このような素晴らしい環境下で卒業研究に取り組めたことを幸せに思います。