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    更新日 2025年6月30日

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花菖蒲図鑑

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あさひぞら

朝日空

Asahizora

伊勢系 【花容】垂れ咲き 【英数】三英 【花色】薄藤紫色 白筋 垂れ咲き 中輪 【開花時期】6月上旬(早生) 2014年、2016年ともに6月7日開花

分類 : 伊勢系の古花で、垂れ咲きの三英花です。
外花被 : 幅の広い円形で、肩の部分は縮緬状構造となります。周縁部は細かい波を打ったようにフリルが入ります。花被片の表面は平滑です。花色は淡い紫色(藤色に見えることもあります)で、維管束部(脈)の部分には太い白色の筋が入ります。周縁部は白色で非常に細い淡い紫色の筋が入ります。
内花被 : 卵型で軸方向に直立し、やや内巻きになります。白色で先端部には紅紫色の斑点がが入り、周縁部は細い紅紫色の糸覆輪が形成されます。内花被の基部はわずかにアイと同系色の薄い黄色が見えることがあります。
花柱枝 : 軸方向に斜め上に直立します。色は淡い黄色みがかった白色で、基部ではやや濃くなります。周縁部には外花被の色によく似た淡い藤色となります。先端部で2裂開し、水平方向に細長いさじ状のずい弁が発達します。先端部には細かい鋸歯が発達し、「くも手」と呼ばれる構造が発達することがあります。ずい弁の先端部分は淡い紫色です。
備考 : 1940年以前(昭和の初期より以前)に育成されたと言われています。育成者は不明のようです。花茎はやや短く、葉は垂れ下がらないで剣のようにまっすぐに直立しています。花茎が細くやや弱いので、風雨が強いときには倒伏しやすいようです。
伊勢系の品種は、外花被片が軸方向に大きく垂れ下がり、花被片の表面に縮緬状構造が発達するのが特徴ですが、本品種では縮緬状構造の発達の程度は他の伊勢系品種と比べて小さく、肩の部分や、外花被片の周縁部にわずかに認められます。
「四海波B」と似ていますが、本学に保存している株では、「四海波B」よりも外花被片の下垂の程度が著しいこと、縮緬状構造の発達の程度が非常に弱いことなどの遺伝的と考えられる形態的な変異によって、両品種を区別しています。「朝日空」は、「四海波B」よりも外花被片の白色の筋が明瞭に見えますが、花色で品種を区別することは環境要因などによる年次間差があると考えて、敢えて、区別でき得る要素からは外しました。この点は、今後も研究を続けていく予定です。
写真は、本学・修士課程1年の唐澤健太氏が2016年当時に撮影したもので6月7日に開花したものを掲載しています。
参考文献 :
  • 冨野耕治.1967.花菖蒲.泰文館、東京.80.
  • 中村泰基・田淵俊人・平松渚.2008.日本伝統の園芸植物、花菖蒲の特性に関する研究.2.伊勢系ハナショウブの外花被片に特徴的な「縮緬状構造」の組織学的構造に関する研究.園芸学研究.7(2):577.
  • 中村泰基・田淵俊人・平松渚.2009.日本伝統の園芸植物、ハナショウブの特性に関する研究(第4報)伊勢系ハナショウブの外花被片の「しわ」(縮緬状構造)は、花被の向軸、背軸面の細胞形態の違いと伸長のギャップによって生じる.園芸学研究.8(2):579.
  • Kobayashi,T. and T.Tabuchi. 2013. Histological structure of the ‘Crepe-like’structure of the outer perianth in the Ise type cultivar in the japanese irises. International Symposium on Diversity. Abstract.
  • 田淵俊人.2016.伊勢ハナショウブの成立.柴田道夫監修 『花の品種改良の日本史』、悠書館、東京.250−251.
  • Tabuchi, T. and T. Kobayashi. 2024. Characteristics and appreciation style of Japanese irises (Hana-shoubu) 2. Ise-group WOTZ Book. International Society for Horticultural Science

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