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ろーず くいん
ローズ クイン
Rose Queen
英国(例外) | 【花容】垂れ咲き 【英数】三英 【開花時期】6月下旬(2009年は6月30日開花) |
分類 | : | ノハナショウブの花容に似た、平咲きの三英花です。 |
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外花被 | : | 形状は細長く、ひし形で、花径は縦×横=6p×4p、周縁部は細かい鋸歯状となりますが目立ちません。基部は濃い桃色で、細い糸状の脈(維管束)が先端部に向かって伸長しています。色は濃い赤紫色です。アイの黄色は小さく目立ちません。 |
内花被 | : | 鉾状で軸方向に直立し、3p程度で短いです。花色は淡い桃色で、中心部は特に淡い桃色です。外花被片のように筋は入りません。 |
花柱枝 | : | 淡い桃色で、中心部は濃い桃色です。先端部は2裂開して、軸方向に立ち上がり、ずい弁が発達します。先端部はクモ手状の鋸歯が入ります。 |
備考 | : | 花径は12p程度で小さく、外観はノハナショウブを桃色にしたような、三英小輪の細い弁を持っています。外花被片は細長く、弁質は非常に薄いので大きく軸方向に下垂します。外花被片の間は幅広く見えます。内花被片の先端部が鉾状に三角形になっています。草丈は50p以下で花茎は1p程度で非常に細く、倒伏しやいです。根は非常に細く、弱いので栽培が難しい部類に入ります。盆用栽培などには向く品種の可能性があります。 英国のペリー氏が育成、あるいは維持・保存していた品種と言われています。戦前にペリー農園を管理していたとの記述があります。 2025年現在、確認する限り英国にペリー農園は存在せず、由来も不明です。本品種は英国のペリー農園で扱っていた品種と言われていますが、元来、英国には自生地がないので、日本の業者から英国に渡り水生植物として保持していた可能性があります。あるいは、戦前に逆輸入されてわが国に導入されたとの説もありますが、育成者などの由来は不明です。 なお、本学では、開花すると株が弱るので、維持・保存のために開花させないで株の充実を図っていますが、近年の猛暑が続く夏場に非常に弱いです。 また、本品種は、青森県下北半島に自生していた野生のノハナショウブ、「北野天使」と非常に類似していますが、外花被片や内花被片の形状、草丈などの形質が異なっており、由来も異なるので区別しています。 なお、桃色の濃さは、本学の圃場での結果では、濃淡には年次差があります。 このような変異は見分けがつきにくいので、本学では長年にわたり比較検討をし科学的に研究を続けています。 |
参考文献 | : |
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