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    更新日 2025年6月10日

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花菖蒲図鑑

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つるのけごろも

鶴の毛衣

Tsuru no kegoromo

江戸系 【英数】三英 【花色】純白 中輪 【開花時期】6月中旬〜下旬 2014年は6月24日、2018年は6月18日に開花

分類 : 江戸系の「古花」。垂れ咲きの3英花です。
外花被 : 形状は丸弁で、軸方向に大きく下垂します。肩部は内巻きとなり、花被片全体がゆるやかに波打っています。基部のアイは濃い橙色がかった黄色で小さいです。花色は純白です。
内花被 : 形状はさじ状で、軸方向、斜め上に立ち上がります。花色は外花被片と同じ純白です。
花柱枝 : 軸方向にやや斜め上伸長します。内花被片の間に位置し、色はクリーム色を帯びた白色で中心部には薄い黄色の筋が入り、基部で濃くなります。
先端部は2裂開し、円形のずい弁が発達します。先端部はごく細かい鋸歯が入ることがあります。ずい弁の色は純白です。花被片と平行になります。
備考 : 1856年以前に育成された菖翁花で菖翁の著『花菖蒲花銘』にも記されている品種です。葉は濃い緑色で軸方向に直立し、花容も垂れ咲きで、内花被片が軸方向に立ち上がります。

本学で分子生物学的に調べた結果においても、菖翁花であることが先らかになっています。伊勢系の品種に花容が似ていますが、形態的には、伊勢系のような花被片に皺がなく、ずい弁にクモ手様の鋸歯が発達しないなどの他に、遺伝子が全く異なります。

なお、この品種名は一般の方々の興味を引くようで、児玉敏昭氏著の『鶴の毛衣とは しつかに逢んといふ事 『大和言葉』あなどれない江戸時代の女性の教養書』(文芸社、2019, p142-143)でも紹介され、本学より写真の提供を致しました。
参考文献 :
  1. 小林孝至・和田 瞳・人見明佳・田淵俊人.2017.  アイソザイム解析から見た ハナショウブの起源ーノハナショウブとの比較ー.園芸学研究.16(別1):412.
  2. 小玉敏明.2019.『大和言葉』あなどれない江戸時代の女性の教養書』―鶴の毛衣とはしつかに逢んといふ事―文芸社,東京.P142-143.
  3. Kobayashi, T. and T.Tabuchi. 2024. Characteristics and apprication style of Japanese irises (Hana-soyubu) 1. Edo-group and Higo group. WOTZ Book. International Society for Horticultural Science. 98.
  4. 田淵俊人・平松渚・中村泰基・坂本瑛恵.2008.日本伝統の園芸植物、ハナショウブの特性に関する研究.(第3報).明治神宮(林苑)のおける土質および水質について.園芸学研究 7(別2):578.
  5. 田淵俊人.2016.花菖蒲の品種分化の歴史とその原種ノハナショウブ. 園芸春秋. 11/12号:586.
  6. 田淵俊人.2016.  花菖蒲の維持管理における諸問題の解決法. 東京都公園協会講演要旨集.
  7. 田淵俊人.2016.花の品種改良の日本史(柴田道夫監修).p238−239.悠書 館,東京
  8. 田淵俊人.2016.江戸時代中期から後期―ハナショウブ栽培の飛躍的な発展と菖翁の業績.『花の品種改良の日本史』(柴田道夫監修).悠書館,東京.238−240.
  9. 田淵俊人.2019.ハナショウブの品種分化の歴史と、品種育成の基になった原種のノハナショウブ.京都園芸 第103集:46−50. 京都府立植物園.

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