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    更新日 2025年7月9日

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花菖蒲図鑑

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おちばごろも

落葉衣

Ochibabgoromo

伊勢系 【花容】垂れ咲き 【英数】三英 【花色】白地に青紫色の淡いかすりが入る
【開花時期】 2019年は6月21日に開花

分類 : 伊勢系の「古花」で、垂れ咲きの三英花です。
外花被 : 円形で、肩部で大きく内巻きになって花被覆片全体が湾曲し、周縁部は細かく波を打ったようになります。花被片の全体にわたって表面には細かい縮緬状構造が発達します。白地で紫がかった青色の薄いかすり状の模様が入ります。青色のかすり部分を詳細に見ると、非常に細かい青紫色の粒状細胞(砂子状)が見られます。
内花被 : さじ状で軸方向に上方向に立ち上がります。淡い藤色で周縁部は濃い色をしています(青紫色の糸覆輪)。周縁部がわずかに波を打っています。
花柱枝 : 地の色は白色で基部はわずかに黄色を帯びています。周縁部に行くにつれ徐々に紅紫色が強くなっていきます。ずい弁は大きく内巻きになり、先端部は鋸歯(くも手)が発達しています。
備考 : 1907年以前に育成された伊勢系の古花であると言われています。外花被片の紫青色の薄いかすりの入る模様の入る程度は、個体差があります。この写真の場合は、やや淡いです。 開花当初は写真のように、小さく縮れたような花容ですが、開花が進むにつれて(2日目)外花被が大きく垂れ下がるようになります。
染色体数が通常のハナショウブ(2n=24)よりも1本多い2n=25であると言われていました。 本学で研究を行った結果、2n=25であることが細胞生物学的に確認されました。このように染色体数が1本多い品種は、他の伊勢系の古花、「月宮殿(げっきゅうでん)」、「残月(ざんげつ)」、「不知火(しらぬい)」、「夏姿(なつすがた)」、「宝玉(ほうぎょく)」、「蓬莱山」(ほうらいざん)」でも確認されました。
また、同じく本学の研究によって明らかにされた伊勢系の古花品種群の起源となった三重県斎宮の野生のノハナショウブ、「トントン花」の実生した株の中に染色体が1本多い株があることを発見しました。
伊勢系の品種に特有の「外花被片が軸方向に大きく下垂する(垂れ下がる)こと」や、「花被片の表面に縮緬状構造が発達すること」などの形質との関係について、相関関係はなく、無関係であることが明らかになっていますので、引き続き研究をしているところです。
参考文献 : ・冨野耕治.1967.花菖蒲.p76-77, 81.泰文館,東京.
・中村泰基・田淵俊人・平松渚.2008.日本伝統の園芸植物,ハナショウブの特性に関する研究 2.伊勢系ハナショウブの外花 被片に特徴的な「縮緬状構造」の組織学的構造に関する研究.園芸学研究 7(別2):577.
・Toshihito Tabuchi,Azusa Komine, Takayuki Kobayashi.2013.Histological structure of the ‘Crepe-like’structure of the outer perianth in the Ise type cultivar in the japanese irises.  International Symposium on Diversifying Biological Resources.46-47.
・田淵俊人.2016.花の品種改良の日本史(柴田道夫編).伊勢ハナショウブの成立.悠書館,東京.p250−251.
・小林孝至・田淵俊人.2020.エステラーゼアイソザイム分析による伊勢系品種のハナショウブの起源.園芸学研究.19(別1):416.
・Tabuchi, T. and T.Kobayashi. 2024. Characteristics and apprication style of Japanese irises (Hana-syoubu) 2.Ise-group. WORZ Book. 99.  International Society for Horticultural Science

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